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宗教学の全体像を知るための「ガイドブック」は必要だと思います。ですが、完璧なガイドブックは存在しません。
旅行ガイドのことを思い浮かべて下さい。初めて訪れる土地であれば、どのような観光物件があるのか、その土地の名産品は何か、どこに宿泊すればよいのか、その土地の歴史や地理など、基本的な情報があった方が、便利でしょう。しかし、旅行ガイドによってその土地のことすべてがわかるわけではありません。実際にその土地を訪れ、その土地の人に話を聞き、実際に自分の足で歩いているうちに、ガイドブックの誤りを見つけたり、またそこに書かれていない自分なりの発見をしたりすることがあるでしょう。
ここに紹介するガイドブックを参考にして、まずは宗教学の旅に出てみましょう。そして、自分の足で、あちこち歩き回って見て下さい。そうこうしているうちに、自分なりのガイドを書きたくなってくるかもしれません。
呪術論・魔術論(宗教学各論(1))
呪術論・魔術論で参考になりそうな文献をアトランダムに紹介します。

東賢太郎『リアリティと他者性の 江川純一・久保田浩編著 白川千尋・川田牧人編『呪術の 浜本隆志『魔女とカルトの
人類学現代フィリピン地方都市に 『「呪術」の呪縛』(上・下) 人類学』人文書院、2012年 ドイツ史』講談社現代新書
おける呪術のフィールドから』 リトン、2015年、2017年 2004年
三元社、2015年
巡礼論 (宗教学各論(2))
宗教学基本文献(2)辞典・事典
巡礼に興味を持つ学生が多いので、参考文献をまとめてみました。
(1)岡本亮輔『聖地巡礼 - 世界遺産からアニメの舞台まで』2015年、中公新書
分量も内容も手頃ですし、参考文献も挙げられていますので、まずは本書を出発点にしてみてはどうでしょうか。
(2)星野英紀、山中 弘、岡本亮輔(編著)『聖地巡礼ツーリズム』2012年、弘文堂
巡礼地ガイドブックとして利用できます。山中による概説も参考になります。
(3)由谷 裕哉、佐藤 喜久一郎『 サブカルチャー聖地巡礼―アニメ聖地と戦国史蹟』2014年、岩田書院
今話題の「聖地巡礼」に関する研究書です。
(4)山中弘(編著)『宗教とツーリズム―聖なるものの変容と持続―』2012年、世界思想社
聖地巡礼に関する論文集です。(1) (2)の次に読むとよいでしょう。
(5)岡本 亮輔『聖地と祈りの宗教社会学―巡礼ツーリズムが生み出す共同性』2012年、春風社
(1)の著者による本格的な巡礼論です。
(6)門田 岳久『巡礼ツーリズムの民族誌―消費される宗教経験』2013年、森話社






宗教学の辞典・事典類についてまとめました
(1)星野英紀, 池上良正, 氣多雅子, 島薗進, 鶴岡賀雄編著『宗教学事典』2015年、丸善
日本語の宗教学事典としては、もっとも手頃です。
(2)井上順孝責任編集『世界宗教百科事典』2012年、丸善
世界の宗教史に関する知識がコンパクトにまとめられています。
(3)井上順孝, 対馬路人,西山茂, 孝本貢,中牧弘允『新宗教事典』1994年、弘文堂
新宗教に関することであれば、この事典を。
(4)井上順孝編著『現代宗教事典』2005年、弘文堂
より現代的な事象について調べるには、本事典を。
(5)Encyclopedia of Religion, 15 Volume, 2nd Edition by Lindsay Jones (Editor)
英語の宗教学事典としては、もっとも充実しています。
(6)Handbuch religionswissenschaftlicher Grundbegriffe, Gesamtwerk Bände I-V, W. Kohlhammer Verlag, Stuttgart 2001
ドイツ語。宗教学で用いられる諸概念について調べるのに、便利です。
宗教学基本文献(3)宗教社会学の基本文献
(1)井上順孝編著『宗教社会学を学ぶ人のために』世界思想社、2016年
(2)櫻井義秀・三木英編著『よくわかる宗教社会学』ミネルヴァ書房、2007年
(3)メレディス・B.マクガイア『宗教社会学 宗教と社会のダイナミクス』明石書店、2008年
いずれも、宗教学の入門用のテキストとして、便利です。